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おたふく風邪
(流行性耳下腺炎)

小児科専門医からのひとこと

小児科専門医からのひとこと流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)は、ムンプスウイルスによって発症する感染症で、耳の下(耳下腺)が腫れて痛むことが特徴です。多くは軽症で自然に回復しますが、髄膜炎や難聴、精巣炎・卵巣炎など、重い合併症を引き起こすことがあり注意が必要です。
現在、日本ではおたふくかぜワクチンは任意接種(自費)となっていますが、これらの合併症を防ぐためには2回のワクチン接種が推奨されています。日本小児科学会でも、確実な免疫獲得と重症化予防の観点から、1歳代で1回目、就学前に2回目の接種を推奨しています。

おたふくかぜ
(流行性耳下腺炎)とは

おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)とはおたふくかぜ(流行性耳下腺炎)は、ムンプスウイルスによる感染症で、耳の下にある耳下腺が腫れて痛むことが最も特徴的です。3~6歳の幼児に多くみられます。
左右どちらかだけが腫れる場合もありますが、2〜3日以内に両側とも腫れることが多いとされています。腫れは通常3〜7日ほど続き、強い痛みを伴うこともあります。
多くの場合は自然に治癒しますが、髄膜炎や難聴、精巣炎・卵巣炎などの合併症が問題となることがあります。

おたふくかぜ
(流行性耳下腺炎)の症状

おたふくかぜの主な症状は以下の通りです。

  • 発熱(ワクチンを接種している場合、発熱しない・微熱で済む場合があります)
  • 耳の下やあごの下の腫れ・痛み(片側または両側)
  • ものを噛むときや飲み込むときの痛み
  • 食欲不振
  • 倦怠感
  • 頭痛
  • 嘔吐

耳下腺の腫れは発症後3〜7日ほどで軽快します。最初は片側のみが腫れていても、1〜2日以内に反対側も腫れてくることがあります。
発熱は3日以内に下がることが多いです。

おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)
の診断と検査

おたふくかぜの診断は、耳下腺の腫れや痛みなどの診察所見を中心に行います。多くは臨床症状のみで診断が可能です。
必要に応じて、以下の検査を追加することがあります。

  • ムンプスウイルス抗体検査(血液検査)
    IgM抗体の陽性や抗体価の上昇により診断が確定します。
  • ウイルス遺伝子検出(PCR法)
    唾液や咽頭ぬぐい液からウイルス遺伝子を検出します。

これらの検査は結果が判明するまでに時間がかかるため、通常は症状と診察で診断します。
特に、合併症が疑われる場合や、確定診断が必要な状況で検査を検討します。

おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)
の治療と家庭でのケア、
再診の目安

おたふくかぜに対する特効薬はなく、治療は対症療法が中心です。

家庭でのケア

  • 発熱や耳下腺の痛みには、解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン)を使用しましょう。
  • 腫れている部分を冷やすことで、痛みが軽減することがあります。
  • すっぱい食べ物やかたい食べ物は痛みを悪化させるため避けましょう。

よく噛まなくても食べられるものがおすすめです。(例:ゼリー、プリン、うどん、お粥、豆腐、グラタンなど)

再診の目安

次のような場合は、再受診をご検討ください。

  • 発熱が5日以上続く
  • 痛みが強く、水分がとれない
  • 頭痛や嘔吐症状がひどい、首がかたい(髄膜炎の可能性)
  • 「耳が変な感じがする」など、聴力の異常を疑う訴えがある
    (おたふくかぜの合併症であるムンプス難聴は、通常片側に生じます。年少児ではでは、自分で気が付けないことも多いです。)

おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)
の合併症

おたふくかぜは多くの場合軽症で済みますが、5〜10%程度の割合で合併症がみられます。以下のような合併症には特に注意が必要です。

無菌性髄膜炎

ムンプスウイルスが髄膜に炎症を起こすことで発症し、頭痛・嘔吐・発熱が長引く・項部硬直(首が痛くて前に曲げられない)といった症状がみられます。
耳下腺の腫れが出てから 5日ほど経って発症することが多く、通常は 1〜2週間で自然に軽快します。
ただし、強い頭痛や嘔吐が続く場合には入院が必要になることがあります。

難聴

ムンプスウイルスによって起こる「ムンプス難聴」は、約95%が片側(片耳)の高度感音難聴で、約5%が両側性です。発症頻度は、おたふくかぜにかかったこどもの500~1,000人に1人とされています。
耳下腺の腫れが出てから18日以内に発症した難聴をムンプス難聴と定義しますが、多くが片側性のため、年少児では自覚が難しく、就学時健診などで初めて指摘されるケースもあります。
現時点で有効な治療法はなく、発症後の聴力は基本的に改善しません。
そのため、ワクチンによる予防が非常に重要です。
おたふくかぜワクチンは難聴のリスクも大幅に減らせるため、1歳代で1回目、就学前に2回目の接種が推奨されています。

精巣炎・卵巣炎

思春期以降の感染で起こりやすく、特に男性の精巣炎は約30〜40%で発症します。精巣の痛みや腫れ、下腹部痛、嘔吐などで発症します。
不妊症の原因となることは稀ですが、両側の精巣炎を起こした場合には精子数が減少する可能性があるとされています。

膵炎

強い腹痛・背部痛、嘔吐などの症状で発症します。入院が必要となることもありますが、多くは数日で自然に軽快します。

流産

妊娠初期に感染した場合、流産のリスクが上昇するとされています。ただし、胎児の奇形(先天異常)を引き起こすことはありません。

おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)
の登園・登校について

おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の登園・登校についておたふくかぜ(流行性耳下腺炎)は、学校保健安全法で出席停止期間が定められている感染症です。基準は以下の通りです。
「耳下腺、顎下腺または舌下腺の腫脹が出現してから5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで」
これは耳下腺の腫れが出る1~2日前から、腫脹後5日頃後までが最もウイルス排出量が多く、感染力が高いためです。

おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)
の予防・ワクチンについて

おたふくかぜワクチン(ムンプスワクチン)による予防が最も重要です。

  • 1回の接種で約90%、2回接種で約99%の発症予防効果があります。
  • 2回接種することで合併症の発症リスクも大幅に低下します。

現在、日本では任意接種(自費)ですが、多くの自治体で助成制度があります。杉並区、中野区、練馬区にも1回あたり3,000~4,000円の助成があります。

接種時期の目安

  • 1回目:1歳
  • 2回目:小学校入学前

よくある質問(Q&A)

おたふくかぜは何回もかかりますか?

一度感染すると終生免疫が得られるため、再感染はほとんどありません。何度も耳下腺が腫れる場合には、「反復性耳下腺炎」という別の病気の可能性があります。

おたふくかぜはきょうだいにうつりますか?

はい、感染力がとても高いため、家庭内感染がよく見られます。耳下腺が腫れてから5日間は特に感染力が高いため、きょうだい間での接触はできるだけ避けましょう。

おたふくかぜの腫れは片側ですか?両側腫れますか?

片側だけ腫れることもあります。1~2日遅れて反対側も腫れることがあり、約70%の症例で最終的に両側が腫れます。

おたふくかぜにかかってしまったときに、食べ物や飲み物で気をつけることはありますか?

酸味のある食べ物(みかん・オレンジジュースなど)は痛みを強めるため避けましょう。ゼリー、うどん、冷たいスープなど、刺激の少ないものを与えましょう。

おたふくかぜワクチンを1回接種していても、おたふくにかかりますか?

1回接種でも一定の予防効果はありますが、完全には予防できません。2回接種することでかなり高い予防効果を得られます。

おたふくかぜワクチンの接種でおたふくになってしまうことはありますか?

おたふくかぜワクチンは弱毒生ワクチンのため、まれに耳下腺の腫脹などおたふくに似た症状が出ることがあります。しかし、自然感染に比べると頻度は非常に低く、合併症のリスクもほとんどありません。