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こどもの嘔吐と下痢

こどもの嘔吐・下痢について

こどもの嘔吐や下痢の原因として最も多いのは胃腸炎です。発熱(微熱)、嘔吐、下痢が同時にみられることが多く、園や学校などで流行している場合には、まず疑われます。胃腸炎の詳しい症状やご家庭での対応については、別ページで解説しています。
一方で、こどもの嘔吐や下痢の原因は胃腸炎だけではありません。
ここでは、こどもの嘔吐・下痢の原因となる胃腸炎以外の代表的な病気について、嘔吐が目立つ場合と下痢が目立つ場合に分け、年齢も踏まえながらご説明します。

ウィルス性胃腸炎

 

嘔吐が主な症状のときに考えられる疾患と治療

新生児期~乳児期(0~1歳頃)

授乳に伴う吐き戻し

赤ちゃんの胃は縦長で、内容物が逆流しやすい形をしており、噴門(胃の入り口)の締まりも未熟なため、哺乳後に母乳やミルクを吐くことがあります。ゲップがうまくできない場合や、便秘があると悪化することがあります。多くは生後6か月頃までに落ち着きますが、頻度や改善時期には個人差があります。
なお、生後2~8週頃に、哺乳のたびに噴水様の嘔吐を繰り返し、ぐったりする様子がみられる場合には、肥厚性幽門狭窄症という病気の可能性があるため注意が必要です。

治療

体重増加や全身状態が良好であれば、治療は不要です。1回の授乳量を少し減らす、授乳後の縦抱きの時間を長く(10分以上)する、などの方法で改善することもあります。

腸重積

生後6か月~2歳の乳幼児に好発します。腸の一部が隣の腸に入り込んで重なる病気で、乳児では嘔吐・不機嫌・血便が主な症状です。ただし、必ずしも最初から3つの症状がすべて揃うわけではありません。顔色が悪く、ぐったりすることが多いです。
胃腸炎のあとに発症することがあり、またロタウイルスワクチンの初回接種後1週間以内は、腸重積のリスクがわずかに高まることが知られています。

治療

整復術(肛門から空気や造影剤を入れて、重なっている部分を戻します)、発症から24時間以内に整復を行うことが望ましいため、疑わしい場合は早めに医療機関を受診してください。整復が難しい場合には、手術が必要となることもあります。

食物蛋白誘発胃腸症(消化管アレルギー)

新生児期~乳児早期ではミルクや母乳が原因となることが多く、離乳食開始後では卵黄が原因となることが多いです。卵黄による場合は、摂取後2~4時間ほどして嘔吐や下痢を繰り返します。下痢を伴わず、3~5回ほどの連続する嘔吐のみがみられることもあります。

治療

症状が強く、再現性がある場合には原因食物の除去を行います。卵黄であれば、自然に耐性を獲得することも多く、2歳以降を目安に食物負荷試験で再評価するのもよいでしょう。

消化管閉塞・外科疾患(肥厚性幽門狭窄症、腸回転異常・中腸軸捻転など)

肥厚性幽門狭窄症は生後2~8週頃に多く、腸回転異常・中腸軸捻転は生後1か月頃までに発症することが多いです。
噴水状嘔吐、胆汁(緑色)を含む嘔吐、体重増加不良、活気不良などがある場合は、早急な評価が必要です。

治療

速やかに精査を行い、必要に応じて専門施設へ紹介します。

感染症(尿路感染症、髄膜炎など)

新生児や乳児では、胃腸炎でなくても感染症に伴って嘔吐がみられることがあります。咳や鼻水などの呼吸器症状がなく、発熱と嘔吐のみがみられる場合には、尿路感染症を疑うことがあります。
また、かぜなどで咳が強い場合には、咳き込みに伴って嘔吐することもあります。

治療

細菌感染症の場合は、抗菌薬治療を行います。

幼児期(1~6歳頃)

ケトン性嘔吐症(ケトン性低血糖)

かぜや疲労、食事量の低下などをきっかけに、こどもは肝臓に蓄えられるエネルギー(グリコーゲン)が少ないため、空腹が続くと脂肪が分解されてケトン体が増加し、それにより嘔吐症状を引き起こします。たくさん遊んで疲れて、夕食を食べずに寝てしまった翌日の朝に発症することも多いです。低血糖を伴うこともあり、ぼーっとしている様子があれば、緊急の受診が必要です。

治療

糖分を含む水分を少量ずつこまめに摂取します。嘔吐が強い場合には点滴治療を行います。低血糖がある場合には入院となることも多いです。

腸重積

乳児期に多い病気ですが、幼児期に発症することもあります。

虫垂炎(いわゆる盲腸)

学童期以降に多い病気ですが、まれに幼児期に発症することもあります。

学童期~思春期

虫垂炎(いわゆる盲腸)

小児の虫垂炎は4.5歳頃からみられ、小学生〜中学生で発症することが多い病気です。嘔吐に加えて、腹痛や発熱を伴うことが多く、痛みが次第に強くなる、右下腹部の痛みが続く場合には注意が必要です。

治療

抗菌薬治療または外科的治療(手術)。疑わしい場合には、専門医療機関へ紹介します。

糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)

小児では、1型糖尿病の発症時に起こることがある病態です。嘔吐のほか、口渇、多飲・多尿、腹痛などがみられます。重症化すると、意識障害を伴うことがあります。

治療

輸液、インスリン治療など。専門医療機関での速やかな治療が必要です。

年齢を問わず起こりうる嘔吐

便秘

強い便秘が続くことで、腹部膨満や嘔吐を起こすことがあります。

治療

飲み薬の便秘薬、浣腸

頭部外傷

転倒や事故のあとに嘔吐を繰り返す場合は注意が必要です。

治療

診察の上、頭部CT検査などが必要な場合には専門医療機関へ紹介します。

頭蓋内疾患(脳腫瘍・水頭症など)

慢性的・反復性の嘔吐が続く場合には、消化管以外の原因も考える必要があります。嘔吐に加えて、頭痛、視線が合いにくい、水をよく飲み尿量が増える、歩きにくくなるなどの症状がみられる場合は注意が必要です。

治療

疑わしい場合には、専門医療機関で頭部CT/MRI検査などを行います。

下痢が主な症状のときに考えられる疾患と治療

新生児期~乳児期(0~1歳頃)

消化管の未熟性による下痢

乳児期は便の回数や硬さには個人差があります。そのため、多少ゆるい便であっても、活気や体重増加が良好であれば心配のいらないことが多いです。
腸内環境が未熟なため、いったん下痢になると、症状が長引きやすいという特徴もあります。

治療

整腸剤、経過観察

乳糖不耐症

ミルクに含まれる乳糖を分解する酵素(ラクターゼ)の活性が一時的または先天的に低下することで起こる状態です。乳糖が分解されずに腸内に残ると、下痢を引き起こします。
乳糖不耐症には先天性と二次性がありますが、頻度が多いのは、胃腸炎や抗菌薬使用後などに起こる二次性乳糖不耐症です。
ミルクを飲むたびに下痢をする場合には乳糖不耐症を疑います。

治療

一時的に乳糖を控え、低乳糖・無乳糖ミルク(ノンラクトなど)に変更します。必要に応じて乳糖分解酵素(ガランターゼなど)を内服することもあります。二次性乳糖不耐症であれば、数週間で治癒することが多いです。

学童期~思春期

炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)

慢性的な下痢や血便、腹痛、体重減少、成長障害などの症状を引き起こします。症状が良くなったり悪くなったりを繰り返す(症状の波がある)ことが特徴で、一度症状が落ち着いた場合にも完全に安心できるとは限りません。特に、下痢や腹痛が2週間以上続く、血便を繰り返す、体重が増えない・減ってきたといった場合には、炎症性腸疾患を疑い、詳しい検査が必要です。

治療

専門医療機関での精査後に、内服治療、栄養療法、生物学的製剤などの治療を行います。

過敏性腸症候群(IBS)

検査では明らかな異常がみられないものの、腹痛や下痢、便秘などの症状を繰り返す病気です。症状の出方により、下痢型・便秘型・混合型などのタイプがあります。ストレスや生活リズムの乱れをきっかけに悪化することが多いです。

治療

生活リズムの調整やストレス軽減を行い、必要に応じて薬物療法を行います。

年齢を問わず起こりうる下痢

抗菌薬使用に伴う下痢

抗菌薬の使用により腸内細菌叢のバランスが崩れ、下痢を起こすことがあります。
乳幼児から学童期まで、どの年齢でもみられます。

治療

整腸剤、経過観察

受診をおすすめするサイン受診をおすすめするサイン

次のような症状がみられる場合は、早めに受診をご検討ください。

  • ぐったりして元気がない、いつもと様子が明らかに違う
  • 水分がほとんど取れず、泣いても涙が出ない/口の中が乾いているなど、脱水が疑われる
  • 血便・黒色便が出る、または緑色(胆汁性)の嘔吐がある
  • 激しい腹痛が続く、またはお腹の張りが強い
  • 嘔吐や下痢が数日以上続く、体重が減ってきた
  • 嘔吐が1日に5回以上、下痢が1日に10回以上みられる

これらに当てはまらない場合でも、保護者の方が「いつもと違う」「心配」と感じる場合は、遠慮なくご相談ください。