- こどものアレルギー性鼻炎・花粉症
- 花粉の飛散時期について
- スギ花粉症について
- アレルギー性鼻炎・花粉症の症状
- アレルギー性鼻炎・花粉症の診断・検査
- アレルギー性鼻炎・花粉症の治療
- 舌下免疫療法
- よくある質問(Q&A)
こどもの
アレルギー性鼻炎・花粉症
アレルギー性鼻炎・花粉症は、アレルゲン(ダニ・ハウスダスト・カビ・花粉など)が鼻の粘膜に付着することで、体の免疫が過剰に反応して起こる病気です。くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみといった症状が繰り返し現れ、睡眠の質の低下、集中力の低下、中耳炎の合併など、こどもの成長や日常生活に大きな影響を及ぼすことがあります。
花粉が原因の場合は、特定の季節に症状が出る「季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)」となり、ダニやハウスダストが原因の場合は、一年を通して症状が続く「通年性アレルギー性鼻炎」となります。
近年、こどもの花粉症は増加傾向にあり、特にスギ花粉症では、5~9歳で約3割、10~19歳で約半数が症状を有しているとされ、珍しい病気ではありません。
花粉の飛散時期について
日本で花粉症の原因として最も多いのはスギとヒノキですが、それ以外にも、一年を通してさまざまな植物の花粉がアレルギーの原因になります。
季節ごとの代表的な花粉は以下のとおりです。
| 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 春 | スギ | 2~4月 | |||||||||||
| ヒノキ | 3~5月 | ||||||||||||
| ハンノキ | 3~5月 | ||||||||||||
| 初夏〜夏 | イネ科 (カモガヤ、 オオアワガエリなど) |
5~6月 | |||||||||||
| 秋 | ブタクサ | 8~10月 | |||||||||||
| ヨモギ | 8~10月 | ||||||||||||
| カナムグラ | 8~10月 | ||||||||||||
スギ花粉症について
現在、日本では花粉症の原因としてスギが最も多く、症状が重く出るお子さまも少なくありません。毎年春になると、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみなどの症状が強くなり、日常生活や学習、睡眠にも大きな影響を及ぼします。
スギの木が日本に多い理由
日本でスギの木が大量に増えた背景には、戦後の復興と高度経済成長期の住宅需要があります。この時代、家を建てるための木材が大量に必要とされ、加工しやすく、まっすぐ育ち、幅広い用途に使えるスギが、国の政策として全国各地に一斉に植えられました。
その結果、現在では日本の森林の約4割が人工林で、その人工林の約4割がスギ人工林となっています。
スギの木は、植えてから10年ほどで花粉を飛ばし始め、20年を過ぎる頃から花粉の生産量がさらに増えると言われており、成熟したスギ林が現在の花粉大量飛散の大きな原因となっています。
国のスギ花粉症対策について
花粉症に悩まされる人は年々増加しており、これを受けて国(林野庁など)は、令和15年度(2033年度)までに、花粉の発生源となるスギ人工林を約2割減少させることを目標に、次のような対策を進めています。
- スギ林の計画的な伐採
- 花粉の少ない「低花粉スギ」への植え替え
- スギ以外の樹木(広葉樹など)への転換
ただし、森林の入れ替えや更新には長い年月が必要なため、これらの対策の効果が十分に現れるまでには時間がかかります。そのため、現時点では、花粉症に対する対策は「医療による適切なコントロール」が非常に重要な状況が続いています。
アレルギー性鼻炎・花粉症の症状
以下のような症状がみられる場合、アレルギー性鼻炎や花粉症の可能性があります。
- 連続するくしゃみ
- 透明でさらさらした鼻水
- 強い鼻づまり
- 口呼吸、いびき
- 目のかゆみ、充血
- 咳が長引く
これらの症状はかぜと区別がつきにくいこともありますが、気になる症状があれば、お気軽にご相談ください。
アレルギー性鼻炎・花粉症の
診断・検査
アレルギー性鼻炎や花粉症の診断は、詳細な問診と身体診察、血液検査を組み合わせて行います。血液検査はこどもにとって痛みや不安を伴う検査でもあるため、適切なタイミングについて相談しながら進めるのがよいでしょう。
当院では、舌下免疫療法の適応となる5歳以降のお子さまから血液検査をおすすめしています。
5歳未満の場合は、検査値によって治療方針が大きく変わらないことも多く、無理に採血を行わず、症状に応じた治療を行うことが一般的です。
アレルギー性鼻炎・花粉症の治療
こどものアレルギー性鼻炎・花粉症の治療は大きくわけて、以下の3つの方法があります。
- 日常生活における対策
- 対症療法(飲み薬、点眼薬、点鼻薬、注射薬)
- 舌下免疫療法
日常生活における対策
鼻に入るアレルゲン(ダニ・ハウスダスト・カビ・花粉など)の量を減らすことが、症状を軽くするために重要です。ご家庭では次の点を意識しましょう。
- こまめに掃除機をかける。
- 花粉の少ない時期は、寝具を定期的に外に干す、布団に掃除機をかける。
- 帰宅時は玄関で上着を脱ぎ、部屋に花粉を持ち込まない。
- 花粉が多い時期の外出時はマスクを着用する。
対症療法(抗ヒスタミン薬、
点眼薬、点鼻薬、注射薬)
お子さまの症状に合わせて、飲み薬の抗ヒスタミン薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬、点眼薬、点鼻薬を使い、症状を和らげます。
抗ヒスタミン薬について
アレルギー性鼻炎・花粉症治療の基本となるのが抗ヒスタミン薬です。アレルギー症状の原因となる「ヒスタミン」の働きを抑えることで、くしゃみ、鼻水、かゆみなどの症状を効果的に改善します。
抗ヒスタミン薬には第一世代抗ヒスタミン薬と第二世代抗ヒスタミン薬がありますが、現在では眠気などの副作用が少なく、効果も優れている第二世代の抗ヒスタミン薬が主流となっています。
お子さまでよく使用される第二世代の抗ヒスタミン薬には、以下のようなものがあります。
- アレロック(オロパタジン)
- ザイザル(レボセチリジン)
- クラリチン(ロラタジン)
- アレジオン(エピナスチン)
- アレグラ(フェキソフェナジン)
それぞれ、粉薬・シロップ・錠剤といった剤型の違い、服用回数(1日1回もしくは1日2回)、効果の出方、副作用の出方(眠気など)、使用できる年齢などが異なるので、医師と相談しながら、薬を選択しましょう。
重症花粉症に対する注射薬
(ゾレア)について
重症または最重症のスギ花粉症のお子さまには「ゾレア」という注射薬の選択肢もあります。
従来の治療(内服薬、点鼻薬など)では十分に症状を抑えられない、重症のお子さまが対象となる治療です。スギ花粉症のシーズン(2月~5月)に2週ごともしくは4週ごとに皮下注射を行います。
ゾレアの対象となるお子さま
- 12歳以上
- 重症または最重症のスギ花粉症
- 血液検査でスギ特異的IgE値がクラス3以上、かつ総IgEが30~1,500IU/mL
- 体重が20~150kgの範囲
- 今シーズン、従来の治療法で1週間以上治療を行い、効果が不十分であった
舌下免疫療法
ダニによる通年性アレルギー性鼻炎、スギ花粉による季節性アレルギー性鼻炎では、舌下免疫療法という治療の選択肢があります。微量のアレルゲン(原因物質)を毎日少しずつ体内に取り入れ、アレルゲンにからだを少しずつ慣らしていく治療です。
長期間(3~5年間)治療を続ける必要はありますが、症状の軽減やアレルギー薬を減らせる効果が期待でき、根本的な治癒につながる可能性もあります。約8割の方が治療効果を実感できます。
対象は、5歳以上のお子さまで、スギやダニに対するアレルギー反応が確認された方です。当院ではお子さまだけでなく、保護者の方の舌下免疫療法にも対応しておりますので、お気軽にご相談ください。
よくある質問(Q&A)
かぜの鼻水とアレルギー性鼻炎の鼻水はどう違いますか?
鼻水の「性状」と「続く期間」が異なることが多いです。
かぜの場合は、最初は透明でも、数日で黄色っぽい粘り気のある鼻水に変わることが一般的です。期間としては1~2週間程度で自然に改善します。
一方、アレルギー性鼻炎・花粉症の鼻水は、透明でさらさらした状態が長く続き、くしゃみ・鼻づまり・目のかゆみなどを伴うのが特徴です。発熱を伴わないことが多く、同じ症状を毎年繰り返す場合は、アレルギーの可能性が高くなります。
アレルギー採血は何歳からできますか?
当院では、5歳以降を目安に血液検査をご提案しています。
5歳未満のお子さまでは、血液検査の結果によって治療方針が変わることがほとんどないため、当院では舌下免疫療法の適応となる5歳以降を一つの目安としています。
また、1歳未満では検査の精度が十分でないことがあり、2歳頃までは花粉症の発症自体がまれです。そのため、年齢や症状に応じて、本当に必要なタイミングかどうかを相談しながら検査を検討しています。
アレルギー性鼻炎や花粉症の診断には血液検査が必須ですか?
必須ではありません。診断は、症状の経過・季節性・鼻の診察所見などから総合的に判断できます。血液検査は、
- 原因アレルゲンを詳しく調べたい場合
- 舌下免疫療法を検討する場合
- 治療方針をより明確にしたい場合
などに行います。すべてのお子さまに必ず必要というわけではありません。
効果の強いアレルギーの薬は何ですか?
「一番よく効く薬」は、お子さま一人ひとりで異なります。同じ抗ヒスタミン薬でも、症状改善の程度や眠気の出やすさには個人差があります。
あるお薬で十分な効果が得られない場合は、別のお薬に変更してみることで症状が改善することもありますので、遠慮なくご相談ください。
眠気が少ないアレルギーの薬は何がありますか?
眠気の出方には個人差がありますが、以下の薬は第二世代抗ヒスタミン薬の中でも眠気が出にくいとされています。
- クラリチン(ロラタジン)
- アレグラ(フェキソフェナジン)
- ビラノア(ビラスチン) 12歳以上から
1日1回で済むアレルギーの薬には何がありますか?
以下の抗ヒスタミン薬は1日1回の服用で済みます。
- クラリチン(ロラタジン)
- アレジオン(エピナスチン)
- ビラノア(ビラスチン) 12歳以上から
1日1回の服用は飲み忘れが少なく、お子さまや保護者の方の負担が少ないという利点があります。
