- 小児科専門医からのひとこと
- 手足口病とは
- 手足口病の感染経路
- 手足口病の症状
- 手足口病の診断と検査
- 手足口病の治療と家庭でのケア、再診の目安
- 手足口病の登校・登園について
- ヘルパンギーナとは
- ヘルパンギーナの感染経路
- ヘルパンギーナの症状
- ヘルパンギーナの診断と検査
- ヘルパンギーナの治療と家庭でのケア、再診の目安
- ヘルパンギーナの登校・登園について
- よくある質問(Q&A)
小児科専門医からのひとこと
手足口病とヘルパンギーナはいずれも、エンテロウイルス属(主にコクサッキーウイルスやエンテロウイルス)によって起こる感染症です。主に乳幼児に多く、夏に流行することが多いため「夏かぜ」とも呼ばれます。
皮膚や口の中にできる、赤い発疹や水疱(水ぶくれ)が特徴で、出る部位によって手足口病とヘルパンギーナを区別できます。
- ヘルパンギーナ:口の中(特に喉の奥)だけに発疹ができ、高熱が出やすい
- 手足口病:口の中に加えて、手のひら・足の裏・肘や膝の外側・お尻などにも発疹が出る。発熱しないことも多い。
どちらも一般的な「かぜ」の一種であり、特効薬はなく、治療は対症療法が中心です。多くの場合は数日~1週間ほどで自然に回復しますが、痛みや発熱による食欲不振・脱水には注意が必要です。
ここでは、それぞれの特徴・治療・家庭でのケア・登園・登校の目安などについて詳しく解説します。
手足口病とは
手足口病は、手のひら・足の裏・口の中などに赤い発疹(丘疹)や小さな水疱(水ぶくれ)が出るウイルス感染症です。主な原因はコクサッキーウイルスA6型・A10型・A16型、エンテロウイルス71型などで、毎年夏を中心に流行します。
主に乳幼児に多くみられますが、小学生に流行することもあり、まれに大人にもうつることもあります。
近年はコクサッキーウイルスA6型による流行が増えており、この型では発熱から1~2日後に発疹が現れることがあります。そのため、初期にはヘルパンギーナと診断され、後から手足にも発疹が出て手足口病と判明するケースもみられます。
手足口病の感染経路
- 飛沫感染(咳やくしゃみ)
- 接触感染(手やおもちゃを介して)
- 糞口感染(便を介して)
ウイルスは便の中に2〜4週間ほど排出され続けるため、解熱後もしばらくは便の処理やおむつ交換時に注意が必要です。おむつ交換の後は、流水と石けんでしっかり手を洗うようにしましょう。
手足口病の症状
手足口病の主な症状は以下の通りです。
- 発熱
- 口の中の痛みを伴う水疱
(舌・頬粘膜・口の奥など) - 手のひら・足の裏・肘や膝の外側・
お尻などにみられる赤い発疹や水疱 - よだれが普段より多い
- 食欲不振
- 喉の痛み
- 嘔吐
- 下痢
発熱を伴うのは全体の約1/3~1/2程度で、発疹や水疱のみのケースも多くみられます。
熱が出た場合も通常1~3日ほどで解熱し、5日以上続くことはまれです。
またヘルパンギーナに比べると高熱になりにくく、微熱で済むことも多いのも特徴です。
発疹は通常、数日〜1週間ほどで自然に消えますが、発疹が多く出た場合には完全に消えるまでに数週間かかることもあります。
手足口病で爪がはがれる?
手足口病に感染した数週間後に手や足の爪がはがれる(爪甲脱落症)ことがあります。これは主にコクサッキーウイルスA6型が原因となった場合に多く見られる症状です。
爪がはがれてしまっても、痛みを伴わないことがほとんどで、そのまま自然に新しい爪が生えてきます。触らずに、清潔を保ちながら様子を見ましょう。
手足口病の診断と検査
手足口病には迅速検査はありません。
症状と身体所見から臨床的に診断いたします。特徴的な所見が出るので、診断はそれほど難しくはありません。
手足口病の
治療と家庭でのケア、再診の目安
手足口病はウイルスによる「かぜ」の一種であり、特効薬や根本的な治療法はありません。そのため、症状を和らげる対症療法が中心となります。
家庭でのケア
- 発熱や喉の痛みには、解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン)を使用しましょう。
- 口の中の痛みが強い場合は、喉の通りがいいものを選びましょう。
例:ゼリー、プリン、うどん、冷えたお粥、ヨーグルトなど - シャワーは高熱でぐったりしていなければ、問題ありません。
汗を流して清潔を保つことで、皮膚の状態悪化を防ぐことができます。
再診の目安
次のような場合は、再受診をご検討ください。
- 口の中の痛みが強く、水分が取れない
- 3日以上高熱が続く(手足口病では通常、高熱が長くは続きません)
- ぐったりして元気がない
そのほか、何かご心配なことがあれば、お気軽にご相談ください。
手足口病の登校・登園について
手足口病には、学校保健安全法で定められた出席停止期間はありません。
解熱後24時間が経過し、食事や水分が摂れるようになれば、登園・登校が可能です。
ただし、園や学校で提供される食事では食べられそうにない場合は、無理せずに自宅で安静に過ごしましょう。
なお、水疱や発疹が消えるのを待つ必要はありません。
ヘルパンギーナとは
ヘルパンギーナは、高熱と喉の奥にできる小さな水疱(水ぶくれ)が特徴のウイルス感染症です。発熱は39~40℃の高熱となることが多いですが、3日以内に自然に解熱するケースがほとんどです。
主な原因ウイルスは、コクサッキーウイルスA群を中心に、エコーウイルスやコクサッキーウイルスB群などがあります。
手足口病と同じく夏に流行し、感染者の90%以上が5歳以下の乳幼児です。
ただし、大人にもうつることもあり、家庭内感染には注意が必要です。
ヘルパンギーナの感染経路
- 飛沫感染(咳やくしゃみ)
- 接触感染(手やおもちゃを介して)
- 糞口感染(便を介して)
手足口病と同様に、ウイルスは便の中に2〜4週間ほど排出され続けるため、手洗いが最も重要です。
ヘルパンギーナの症状
ヘルパンギーナの主な症状は以下の通りです。
- 発熱(39~40℃の高熱になることが多い)
- 喉の奥にできる痛みを伴う水疱
- よだれが普段より多い
- 食欲不振
- 喉の痛み
- 嘔吐
- 下痢
手足口病と比べてより高熱が出やすいのが特徴で、ほとんどの場合は2〜3日ほどで熱が下がります。喉の痛みも同様に数日で軽快しますが、高熱によって熱性けいれんを起こすリスクが通常のかぜよりも高いため注意が必要です。
ヘルパンギーナの診断と検査
ヘルパンギーナには迅速検査はありません。
特徴的な喉の所見から、臨床的に診断いたします。
ヘルパンギーナの
治療と家庭でのケア、再診の目安
ヘルパンギーナは手足口病と同様に、ウイルスによる「かぜ」の一種であり、特効薬や根本的な治療法はありません。そのため、症状を和らげる対症療法が中心となります。
家庭でのケア
- 発熱や喉の痛みには、解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン)を使用しましょう。
- 口の中の痛みが強い場合は、喉の通りがいいものを選びましょう。
例:ゼリー、プリン、うどん、冷えたお粥、ヨーグルトなど - シャワーは高熱でぐったりしていなければ、問題ありません。
再診の目安
次のような場合は、再受診をご検討ください。
- 口の中の痛みが強く、水分が取れない
- 4日以上高熱が続く(ヘルパンギーナの発熱は1~3日で落ち着くことが多いです)
- ぐったりして元気がない
そのほか、何かご心配なことがあれば、お気軽にご相談ください。
ヘルパンギーナの
登校・登園について
ヘルパンギーナには、学校保健安全法で定められた出席停止期間はありません。
解熱後24時間が経過し、食事や水分が摂れるようになれば、登園・登校が可能です。
ただし、園や学校で提供される食事では食べられそうにない場合は、無理せずに自宅で安静に過ごしましょう。
よくある質問(Q&A)
手足口病やヘルパンギーナは何度も感染しますか?
はい、再感染することがあります。原因となるウイルスには多くの型があるため、一度かかっても別の型で再び感染することがあります。1シーズンに2〜3回感染するケースもあります。
手足口病やヘルパンギーナは兄弟にうつりますか?
はい、感染します。特に乳幼児の兄弟間での感染が多くみられます。おむつ替えの後や食事の前には、石けんを使ってしっかり手を洗いましょう。タオルや食器の共用も避けてください。
手足口病の発疹には薬を塗った方がいいですか?
基本的に発疹や水疱に薬を塗る必要はありません。ただし、かゆみが強い場合や掻き壊してしまう場合には、塗り薬や飲み薬を検討しますので、医療機関にご相談ください。
手足口病の発疹が出ていますが、熱はありません。登園してもいいですか?
手足口病の場合、症状が発疹や水疱のみの場合は、登園しても構いません。ただし、発疹や水疱が他の病気によるものでないか確認するため、医療機関で診察を受けることをおすすめします。
また、水疱が破れて液体が出ている間は他のお子さまにうつしてしまうリスクが高いため、登園を控えて自宅で安静に過ごすほうがよいでしょう。
手足口病の発疹がなかなか消えません。跡は残りますか?
通常、手足口病の発疹は数日〜1週間ほどで自然に消えます。発疹が多く出た場合には完全に消えるまでに数週間かかることもありますが、跡が残ることはまずありません。
